ぎっくり背中かと思ったら悪性腫瘍が見つかった話④

エッセイ

…③の続きです!

すぐさま整形外科へ

早速次の日美意識高い系先生のいる整形外科へ行った。

診察室に呼ばれると美意識高い系先生は少しテンションの上がった感じだが、それを抑えるようにして私にMRIを見せながら「いや~、見える??これ、背骨と胸の間の所に大きな腫瘍があるね~」と言ってきた。見てみると5センチくらいの大きいものがぷっくりと写っていた。「背骨と胸のちょうど間に腫瘍がいたからレントゲンに写らなかったんだね~あ、ほらこんなデカいのがいるよ!!!!」と言ってきた。先生はもうこのレベルは自分の処置する範囲ではないと思ったのか、医療知識のある傍観者として私の症状をある意味楽しんでいるように感じて少しむかついた(笑)

「すぐに大きな病院への紹介状を書くね。ここら辺だとどこがいいかな、○○病院かな?」と言われ、私は知っている大きな病院があったのでそこがいいと伝え紹介状を書いてもらった。

私は腫瘍=がん、がん=死ぬ可能性がある。と思っていたので、何か自分に異変があることは覚悟していたが、あんなに大きい腫瘍があるとは思わなかったのでパニックに心の中でなっていた。帰りの電車で“あぁ、自分は死ぬのかもしれない…”そう思ったら涙がうるうると目に溜まっていた。乗っている電車はとても穏やかでなんの変哲もないのに、自分の体の中には自分を蝕む腫瘍がいるのかもしれない…そう思うとよく分からなかった。今すぐに死ぬとも思えないし、そもそもこの腫瘍が何なんかもまだハッキリと分かってはいない。別に悪性の腫瘍とも限らないし。ただ、もしこいつがガンだとしたら….そんな答えの出ない問いを頭の中でぐるぐるさせながら家に帰った。

ちょうど家には父親と母親がいたので、帰ってきてすぐに「報告があります。MRIを撮った結果、背骨と胸の間に腫瘍がみつかりました。なのですぐに大きな病院に行く必要があります!」と言いながら涙がぼろぼろと溢れていた。母も涙目になりながら「病院でいきなりそんな報告うけてびっくりしたでしょ。でも絶対治るから、一緒に治そう!!!!」と言ってくれた。父も「大きな病院にすぐに行こう、送っていくよ。」と言われ私たちはこの腫瘍を退治する戦闘モード(?)になった。

その夜、MRIを撮りに行け!!!!と怒鳴ってきた父親は悔しいが正しかったなぁ…と思い、しかしどれだけ正しくても言い方が悪いと人は動かないということも自分を振り返ってよく分かった。もう死ぬかもしれないが何だか大きな学びになった気がした。また、もし自分が死んでしまうとしたら何か後悔することはないか…と考えていたのだが、自分の人生を振り返ってみると留学もさせてもらったし結構好き勝手に生きて来たので決定的な後悔は出てこなかった。そんな自分を誇らしく思いながら寝る不思議な夜だった。

大きな病院へいざ出陣!!!!

朝いちばんで家族3人で紹介された大きな病院へ行った。大きな病院は凄く待たされるし、初診の人は受付が11時までで初診の人を全然受け付けてない雰囲気だという事を知っていたからだ。受付を済まし20分程度待つと受付の人に呼ばれ、診察券とこの番号が書いてある整形外科の受付に行ってくださいと言われたのでその番号の所に行った。受付を済ましそこからまた40分程度待った。

ついに自分の診察番号が呼ばれ診察室に入った。優しそうな坊主の先生がいた。その先生が私のMRIを見て手やひざを触診した後に「そうですね。今の状況は背骨の最後、胸骨の最初の部分に腫瘍、もっと平たく言うとできものがありますね。MRIを見るとこの腫瘍が背骨を押して一つ背骨が折れてます。ただ、ラッキーだったことに腫瘍が前に出て来てくれているので脊髄の神経にあまり影響がないようです。この腫瘍が後ろに出ていたら、脊髄を刺激して最悪胸から下が動かない、歩けないといったことになっていたかもしれません。しかし、今日手の痺れがあるものの歩いて病院まで来れているので不幸中の幸いですね」と言われ、「僕の知り合いに脊髄に詳しい人がいるので、その病院ですと腫瘍とガンの検査も一緒にできるのでそちらを紹介しますね」と言われた。

…いや、そちらで腫瘍を治してくれるんじゃないんかい!!!!と思ったが、まぁ紹介されるならそれはそれだ。ただ、紹介してくれた病院はここから車で1時間程度かかるらしい。そして先ほども言ったように、大きな病院は初診の患者に厳しい。現在時刻はもうすこしで11時…普通なら初診の患者の受付がもうそろそろ終わる時間だ。予約を取ることができれば午後からの診察に行けるかもしれない。そうだとしてもなるべく早く紹介先の病院に連絡した方が良いだろう。坊主の先生からなるべく早く紹介した病院に行って欲しいと言われていたことや、私の親は土日休みではないので今日のように家族そろって病院に行けるチャンスがあまりなかった。私は今日そのまま紹介された病院に行くのか、日を改めるかの選択を迫れていた。

ただ、そもそも今日紹介された先の病院が初診を受け付けているのか分からないので、電話をかけてみることにした。「…もしもし今日そちらの病院に行くことは可能でしょうか、紹介状はあります。」看護師さんが電話に出た。「現在の病状はどのようなものなのでしょうか?」「…あの背中?背骨?胸?のところに5センチ程度の腫瘍があると言われました。」胸骨のあたりと言いたかったのに、焦っていると言葉が全然出てこない。「分かりました少々お待ちください。」そう言いながら看護師と先生の会話が受話器の遠いところから聞こえて来た。“え?胸のあたり腫瘍?病名はなんなの?”……。その後も私と看護師さんの会話のリレーがあったのだが、先生が鬱陶しくなったのか先生と直接会話することになり「あ、もしもし○○です。病名は何?そっちの先生はなんて言ってるの?うち常に予約でいっぱいで今日も予約でいっぱいなんですよね。次来るとしたら月曜日だけど、その日も予約でいっぱいなので待つことになると思います。いつ来ますか?」とまくし立てるように言われた。急な選択を迫られ、私は“どうしよう…”と父親の方を見たのだが、父親はあなたに任せる。とジェスチャーで言われて“コイツ何て頼りないんだ!!”と思いながら「…今日行きますッ!!!!」と口から出ていた。「分かりました。じゃあ看護師に伝えておきますのでこの後事務的な話があると思います。」と言われ先生から看護師さんに変わり事務的説明を受けて次の紹介された病院に向かうことになった。

大きな病院その2

急いで次の病院へ向かう事になった。コンビニでお昼を買いすぐさま車にのって紹介された病院へ向かった。まるで何かの刑事ドラマで犯人を追いかけているかのようなスピード感があった。

紹介された病院につくとまた初診患者の窓口にならび紹介状を渡し、10分程度まった。その後受け付けの人にこれをもって整形外科の窓口に行ってくださいと言われそこに向かった。整形外科の受付を済まし、その後20分程度待ち私の番が来た。“あれ、意外とスムーズじゃん”と思った。

そこにはメガネをかけた先生がいて、「先ほど(電話)はどうも。○○と申します。」と言い、坊主先生と同様に私の手や足を触診してMRIやレントゲンの写真をみて「そうですね。大きな腫瘍がありますね。坊主先生はなんと言ってましたか?」と言われて、腫瘍が前の方に出ていてラッキーだったことなどを伝えた。メガネ先生は「僕も同じように思います。幸いな事に前に腫瘍が出ていて症状がひどくでていないですね。ただ、じゃあこれをそのままにしておく訳にはいかないのですが、一気にこの腫瘍を取ろうとすると、脊髄の近くなのでその後例えば下半身に麻痺が起きてしまう可能性があります。なので最初は今折れている背骨を対処することと、腫瘍の一部を少し採ってこの腫瘍が悪性なのか良性なのかこの腫瘍の特性を調べたいと思っています。」と言われ、私は“やっぱり手術しなきゃいけないのか。。。”と呑気(?)な事を思っていた。そして、今現在だとこの腫瘍のせいですぐに死ぬという事でもなさそうなので少し安心していた。

ぎっくり背中や手の痺れがこの腫瘍のせいなのかと改めて分かり、そうすると整骨院の人に言われた
!!!首の左側ヤバいですよ!!!通常ココにある背骨が左側に出てきちゃってますよ!!!”というのはコリではなくてシンプルに背骨が折れていたからかぁ…と今までの出来事が伏線回収される感じが自分の中であった。数週間前のぎっくり背中だけどどの病院に行ったらいいのか分からない!!!!という敵が何なのか分からいモヤモヤとした状態から解放されてすごくスッキリした気持ちが自分の中にあった。

そして行くべき病院が分からない場合は自分の考えうる行動を全てするしかないのだなとも思った。1つの整形外科だけではなくセカンドオピニオンとして違う整形外科に行ったり、整骨院にも2つ通った。とてもお金がかかったし結果的に腫瘍があるというある意味シンプルな結果だった。しかし、誰も自分の体の中に腫瘍があるとは思わないし信じない。なので、お金も時間もかけて原因が見つかるまでジタバタするしかない。

、、、⑤に続く

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